人材活用事例 「わが社の"いいね!"」

2017年11月06日

『社員の幸せ」を追求して作り上げるオーダーメイドの制度・仕組みづくり

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今回クローズアップするのは「株式会社ファースト・コラボレーション」

今回ご紹介するのは不動産ネットワーク「エイブル」のフランチャイズとして、高知県内で7拠点を運営する株式会社ファースト・コラボレーション。同社はエイブル全国顧客満足度調査において、この10年で店舗部門日本一を4度、個人部門日本一を7度も獲得し、業績も好調に推移しています。さらに経済産業省による「おもてなし経営企業選」など数多くの賞に選出。高い評価を受ける理由は「社員第一」を中心に据えた同社の取り組みです。社員が皆「仕事が楽しい」と笑顔を見せながら働き、産休・育休からの復職率も100%という驚くべき会社づくりを実現している同社の取り組みとその背景を追いました。

  • ● 社名/株式会社ファースト・コラボレーション
  • ● 所在地/高知県高知市南川添8-17
  • ● 資本金/1000万円

理想の職場づくりのため、とことん話し合う

「従業員満足なくして顧客満足なし」――。1980年代に生まれた「顧客満足」という指標ですが、その向上に大きく関係すると言われているのが「従業員満足」です。従業員満足なくして顧客満足もなく、またその逆もしかり、という考えを目指しても、それを上手く実行できている会社は実はそう多くはありません。しかし(株)ファースト・コラボレーション 代表取締役社長 武樋泰臣(たけひたいしん)さんは、「自分たちがウキウキ、ワクワク、伸び伸びと働くこと、つまり『従業員満足』が高まることで、自然と『顧客満足』もアップしてきたんです」と話します。

そんなファースト・コラボレーションの基本理念は「社員とその家族が幸せであること、より多くの人々に貢献すること」。この考えの根幹は武樋さんの歩んできた経験から来たものでした。「高校を卒業後、海上自衛隊に就職しました。安定した職場でしたが、10代の僕はその安定に閉そく感を感じてしまい退職したんです。それから10年間で10回位は転職を重ねました。その期間に色々な仕事をして、会社の経営方法にも触れた。あれが今の自分に繋がっているんじゃないかと思います」。

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「社員の幸せが第一です」と話す武樋社長

さまざまな経験から、武樋さんは理想の職場を作りたいという強い想いを持つようになっていました。社員が伸び伸びワクワク働ける会社、一人ひとりが主役の会社、そして夢や希望が持てる会社です。しかし実際に創業するとそう上手くはいかず、役員や社員がもめることも。雰囲気はギスギスとして、離職者も出始めたのだといいます。

「そんな状況を打開するため、8カ月間にわたり社員全員で話し合いを重ねました。どんな会社をつくりたいのか、どんな仕事をしたいのか、仕事を通してどんな人生を送りたいのか…。すると、笑顔が溢れる職場にしたいとか、チームワークを大切にしたいとか、皆の意見は共通していたんです。じゃあそれらを経営理念にしようじゃないかと。創業2年目のことです」。

経営理念

チームワークとコミュニケーションが成功の鍵

経営理念を決めた後、その実行に向けて武樋さんはさらに考えを深めます。「自分は経営者だから、何事も決定できる立場にありワクワクすることも多い。しかし社員はどうだろう。社員も楽しく働けるようにできないだろうか?」。

そして、経営指針の夏合宿を実施することに。経営方針や計画と共に、個人のビジョンや夢も皆で話し合うことで、お互いの夢を知っている同士、ベクトルが合っていきます。また一人ひとりが持つ個人的な夢と仕事が本当にドッキングしているのか、しっかりイメージすることで、仕事も楽しいものにしていくのが狙いです。この年以降、毎年8月に夏合宿を実施してとことん話し合う場を設けています。

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今年で13回目の経営指針夏合宿の様子

合宿以外にも社内イベントを数多く開催する同社。目的は社員同士のつながりを深めるのもそうですが、若手が活躍するきっかけづくりという側面もあるのです。新人が仕事でいきなり大きなチャレンジをするのはリスクがありますが、イベントであれば問題ありません。企画発案から運営までを取り仕切り、周囲に認められることで1つの成功体験が生まれ、成長ができるというわけです。

「うちはあだ名もOK、おしゃべりOK。ノルマも命令も歩合もありません。業績よりも組織風土、チームワークとコミュニケーションを第一にしています。こんな風なので、同じ不動産業界の先輩たちからは『そんな甘いことで上手くやっていけるのか?』と言われたりもしました。でも、このやり方で15年間赤字もなく増収でやってきています。『儲ける会社』と『幸せな会社』の両方が、バランスが取れているのが本当に良い会社なのではないでしょうか」。

会社の方針と個人の目指す人生を同じラインに

同社でひときわ注目を集めているのが子育て支援に係る制度です。創業から3年目位までは出産をきっかけに退職する女性もいたのだとか。それが変わったきっかけは創業メンバーの若手女性社員の行動です。彼女は「出産してもこの会社に帰ってきたい」「戻って来るには何が必要なのか」といったことを社員に向けてプレゼンし、後輩もまたこれを後押ししました。これを機に同社は制度を整え、産休・育休からの復職は100%になったのです。 

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出産後の復職に向けた女性社員のプレゼンが制度改革を後押ししました

「女性は結婚、出産、育児と、ライフステージの大きな変化があります。女性のワークライフバランスを高いレベルで充実させるために、会社と社員が皆で支えていきたい。ですから、働く店舗や曜日、時間を自由に選ぶことができるようにしました。会社がどうありたいかで制度や仕組みを作るのではなく、『どうしたら従業員が幸せなのか』を追求してオーダーメイドで作り上げていったのです」。

結婚、出産期において働き続けたいと考える女性に対して、受け入れる側の会社の制度や仕組みが整わず、双方の負担が多くなってしまうことは、よく見られる課題です。同社では制度や仕組みを整え、さらにその制度や仕組みがきちんと活用できるような風土を大事にすることで、その問題をクリアにしました。顧客満足度調査において、上位を女性社員が占めているという事実から、成果という面でもバリューがあることがわかります。個人の目指す人生や働き方を無視して、会社の方針や計画を求めようとすると、どんどん窮屈になってしまいます。そうならないように、会社と一人ひとりの目指す方向を揃えるというのが、武樋さんの考えなのです。

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組織と個人の「深いつながり」、組織に対する「愛着心」が肝

「私たちが考える仕事の目的は、『自分自身とその家族の幸せ』、そして縁のある多くの人たちの幸せに貢献することです。それを通して成果を自然と生み出していきます。また『経営理念の浸透』とよく言いますが、浸透させるものではなく、全員で語り合うものです。そのコミュニケーションを通して初めて経営理念の存在が活きてくるのだと思います」。

一人ひとりの夢やライフステージに寄り添う会社づくりを

武樋さんは今、家族と過ごす時間をまとまった形でとれるように、土日休みの店舗を作ることも考えているそうです。さらに男性の育休についても希望があれば取得を勧めたいとも話します。「実はもう1つ会社を作り、そこでは成果による歩合制を導入しています。というのも、既存の社風が良いという人がいる一方で、もっと実力・成果主義を求める人もいたからです。でもそんな彼らもいつか、実力・成果主義ではない会社の方がいいなと思う日がくるかもしれませんよね。自分のライフステージやタイミングによって働き方を選べるのがベストなのではと考えます」。社員一人ひとりが目指す人生と働き方に寄り添いながら、業績が担保できる仕組みを考え実行していく武樋さんの試みは、これからも続いていきます。

「ファースト・コラボレーション」の事例から学ぶ人材活用のポイント

理想の職場を話し合う
社員一人ひとりが、どんな会社にしたいのか、何を大切にしたいのか考え、話し合い、共通の考えとして、経営理念を策定。
個人のビジョンや夢も話し合う
仕事を楽しいものにしていくために、個人の夢を話し合い、仕事と夢をしっかりイメージできる場をつくる。
制度・仕組みと組織風土の大切さ
制度・仕組みは「従業員の幸せ」を追求してつくりつつ、普段からコミュニケーションを活発にし、自然に活用できる組織風土づくりも行う。