人材活用事例 「わが社の"いいね!"」

2019年06月28日

女性のライフステージに寄り添い、強みを引き出す職場環境づくり

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今回クローズアップするのは「サーティワンアイスクリーム」

人生100年時代を見据え、誰もが主体的にキャリアを形成できる社会の実現が注目されています。とくに結婚、出産、子育てなどライフステージの変化が大きい女性に対して、いかに体制を整え活躍の場を提供していくかは、多くの企業にとって共通の課題だといえるでしょう。そこで今回は、主婦が活躍する企業として、サーティワンアイスクリームの静岡高松ロードサイド店に取材をしました。

  • ● 社名/B-R サーティワン アイスクリーム株式会社
  • ● 創業/1973年12月19日
  • ● 本社所在地/〒141-0021 東京都品川区上大崎3-1-1 目黒セントラルスクエア
  • ● 資本金/7億35百万円(2007年2月)

コンテストへの参加が自分の強みを知るきっかけに

静岡市内のサーティワンアイスクリームで店長として働く佐藤さん(40代)は、中学3年生の女の子と小学5年生の男の子を育てる母親でもあります。昨年の秋から店舗運営を任される店長という立場になり、雇用形態も正社員となりましたが、当初は短時間のアルバイトからのスタートだったといいます。

「病気がちだった下の子の看病が落ち着き、働こうと考えたのが約6年前。そこでサーティワンアイスクリームの求人に応募して、はじめは平日の週2~3日、1日4時間の勤務からスタートしました。子供が成長し、少しずつ自分で時間をコントロールしやすくなったことや家族の協力もあり、状況に応じて閉店の22時まで働くこともできるようになりました。店長として最初はずっと22時まで店舗にいなくちゃいけないかなと思うこともありましたがそのようなことはなく、スタッフの状況を踏まえて、自分の予定もおざなりにすることなく出勤時間の調整ができていますね」。

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店長として生き生きと働く佐藤さん。

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常時32種類のアイスクリームが店頭に並ぶ。

店長として働くことについては、前の店長との会話から、自然と意識をするようになっていたという佐藤さん。大きなきっかけとなったのが、サーティワンアイスクリーム本部が開催する「エクセレントスタッフチャレンジ」(店舗での知識や接客技術をスタッフが競い合うコンテスト)に参加したことでした。佐藤さんは初めての参加にも関わらず、約600人の参加者から上位20人が選ばれる”エクセレントスタッフ”に見事入賞したのです。

「実はあまりコンテストについてよく理解していないなかで参加したのですが、幸いにも良い賞をいただいて…。『接客に安定感がある』ということを評価いただき、自分で気づかなかった強みを知ることができました。エクセレントスタッフが招待される全国研修会があったのですが、出会った他のスタッフのモチベーションの高さと、サーティワンへの想いの深さにとても驚きました。『私はまだまだなんだ』『自分にできることは何だろう』と思う場面がたくさんあって、そこで仕事に対する意識が変わったと思います」。

今は店長として忙しくとも充実した日々のなかで仕事をしているという佐藤さん。主婦と店長を両立する自分を支えているのは、家族の存在だといいます。「夫や子どもの支えがあるからこそ頑張れていますね。そして採用をしてくれた会社に恩返したいという気持ちも、働き続けるモチベーションになっています」。

円滑なコミュニケーションで良いサイクルを作る

佐藤さんが店長として特に意識しているのは、「スタッフとのコミュニケーションをしっかりとること」。楽しく働ける職場であることを第一に、一方で衛生面に関する注意やサービスのクオリティを保つために伝えなければならないことはきちんと伝えるようにしています。その際には、周囲のスタッフも巻き込んで浸透を図ることも。「まずは仕事への理解が深く、信頼できるスタッフに自分の考えを伝えてみるんです。そこで共感が得られれば、『じゃあ、他のみんなにも伝えてね』と広めてもらう。そんな感じで、スタッフみんなが協力し合う良いサイクルができてきているなと思います」。

佐藤さんのもとで働くスタッフ約15人のうち、5人が主婦。佐藤さんは、主婦ならではの強みをこう話します。「子どもに慣れているため、接客面での安定感がとてもありますね。店舗の清掃も細かいところまで気を配ってくれます。こちらから指導する以上に、主婦スタッフから教えてもらうこと、助けてもらうことはとても多く、ありがたいです」。

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ベテランスタッフがお手本となり仕事を覚えてもらう。

女性が働きやすいよう就業規則を改定

女性は結婚、出産などライフスタイルの変化にともない、働く時間に制限が出てきます。そのため、「時間の融通が利かなそう」「子どものイベントや病気ですぐに休むのではないか」といった懸念をもつ企業もあるのが現実です。そのような中、静岡高松ロードサイド店を運営する株式会社トクラの飲食部門の社員のおよそ9割は女性。現在、サーティワンのフランチャイズ運営を東京都内など静岡県外含む35店舗で行っていますが、そのうち5店舗で主婦スタッフが店長として活躍しています。このように女性(主婦)が活躍している理由を、社長の手代木さんはこう話します。

「もともと飲食店を運営する会社として女性が多くなったのは自然のことで、そこから店長にふさわしい、適当な能力があると判断した方がたまたま主婦であった、ということですね。そして主婦の方は働きたくても時間や勤務地などの制限があり、働き続けるには工夫が必要です。そこで当社では時間や勤務地の心配を少しでもなくして働き続けられるように、就業規則を変え、短時間正社員や転勤がない勤務地限定正社員を導入しました」。

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「主婦は欠かせない戦力」と話す株式会社トクラ手代木社長。

残業できない後ろめたさから解放。職場に笑顔が生まれた

店長をお願いしたいけれど主婦本人の意欲がないと断られてしまうのでは、という不安をもつ雇用主の方もいるかと思います。同社の場合は、店長になる前から少しずつ仕事を任せ、店長の職務を担えるか本人とすり合わせを行っていきます。たとえば佐藤さんの場合は、各スタッフの希望シフトを確認するという業務を、前の店長から任されていました。すると、佐藤さんは各スタッフの事情や店舗全体の勤務状況などを理解し、どの曜日・時間帯にスタッフが不足しがちなのか、それを改善するにはどうしたらよいか、といったことを考え、スタッフ同士で話し合い、シフト作成がスムーズにいくように調整するようになり、自然と店長目線で店舗運営を考えるようになったそうです。
突然店長を頼みたいと話すのではなく、徐々に業務を任せ、双方ですり合わせていくことが大切といいます。また、手代木さんは主婦スタッフが店長になることについてこう話します。

「店長はシフトの他、採用に関する権限もあり、店長自身の出勤時間も含めて、店舗運営の多くを店長がコントロールできるようにしています。店舗運営の裁量があることは負荷ではなく、家事・育児と仕事の両立をしていくうえで、主婦だからこそ自分で仕事をコントロールできたほうが働き続けやすいのではないかと考えています。マネージャーと業務を分担することで、主婦でも店長業務は可能です。主婦であること、時間の制約があることは決してデメリットではないんです。
裁量を持たせるとどうなるのか、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、佐藤さんの店舗運営は『安定感』があります。特に同世代の主婦スタッフはもちろん、学生アルバイトともうまくコミュニケーションをとることができていますね。時間に制約があるから十分に店舗運営ができないというわけではありません。安心して店舗運営を任せることができています」。

ロールモデルの更なる多様化を推進

佐藤さんのように主婦と店長を両立する働き方は、若いスタッフのロールモデルにもなりつつあります。「子育てとうまく両立して働いている人が身近にいると、自分もそうできるイメージが掴めるでしょう」と手代木さん。また、今年の11月には新卒入社から店長として活躍していた女性社員が育児休暇を終えて初めて職場復帰をする予定であり、新たなロールモデルを作ろうとしています。会社が保育園と契約し、その費用の一部を補助することで、産休・育休取得後の復帰がしやすいようにしていく方針だということです。

選ばれる職場づくりの後押し

サーティワン アイスクリームの本社では、静岡高松ロードサイド店の佐藤さんのような主婦スタッフの活躍を推進しています。
2017年にはユニバーサルデザインの制服を導入し、年齢や性別に関係なく制服を3種類から選択できるようにしました。また、主婦向けの採用応援ページを2019年2月にオープン。サーティワンで働くことを希望する主婦の方の不安を払しょくできるよう工夫しています。現在主婦スタッフの78%は「主婦になってからサーティワンで働き始めた」方々で、半数程度が5年未満の勤続です。今後も家事・育児と仕事の両立ができる、スキル・経験を身に着けてキャリア形成できる職場として選ばれるための同社の取り組みに注目です。