相思相愛マネジメントで
パート・アルバイトを育てて、活かす Vol.2

成功企業の共通点

本連載・第１回では「相思相愛マネジメント」について、以下のように説明しました。

「相思相愛マネジメント」とは「多彩な事例から抽出した、パート・アルバイトの定着・戦力化の成功法則であり、実践ノウハウ」であること。

そのカギとなるのが"相思相愛"。つまり、パート・アルバイトとして働く方が、イキイキ活躍できている職場では、働く側が「ここで働きたい」「働き続けたい」と思っている。反面、彼らを雇用する側の企業も、「あなたに働いてほしい」「あなたに働き続けてほしい」と、きちんと伝えているということです。

要するに、成功企業ではすべからく、「互いを思いあう状況」を、社内に作り上げているのです。

定着・戦力化の必須要件

"相思相愛"は、成功法則である一方、パート・アルバイトの定着・戦力化の必須要件でもあります。理由は、簡単。パート・アルバイトが「ここで働きたい」「働き続けたい」と思わなければ、彼らは容易に、辞めていってしまうからです。

辞めてしまえば、戦力化など、できようはずがありません。パート・アルバイトの戦力化は、彼らが仕事に習熟して初めて可能になります。そして習熟は、職場に定着し、仕事を継続することなくしては、なし得ません。

仮に「辞める」までには至らずとも、「ここで働きたい」「働き続けたい」と思えないような企業では、パート・アルバイトが自ら率先して仕事をしたり、企業の重要な戦力になることはないでしょう。

募集から退職まで一貫した相思相愛

そのための"相思相愛マネジメント"は、一人のパート・アルバイトを募集し採用し、その人が退職するまで、一貫して継続的に行うことも重要です。

例えば募集広告を作るときも、"相思相愛"を意識します。企業としては、もちろん「あなたに働いてほしい」「あなたに働き続けてほしい」と思える人を、採用したい。そのためには、そうした「自社好み」の人材が、「ここで働きたい」「働き続けたい」と思い、応募してくる広告にしなくてはなりません。

面接は、"相思相愛"になれるか否かを確認する、「お見合い」です。募集広告や履歴書など "書面"で「いいかも！」と思った相手について、実際に会い、会話して確認し、互いに「この人がいい」「この会社がいい」と納得して初めて、労働契約が成立するからです。

その後、教育をしたり、評価をしたり、賃金を上げていくことや、パート・アルバイトとの日々の細かなコミュニケーションは、"相思相愛"の継続に必須です。

退職とて、あなどれません。労働者ともめれば、労働基準監督署に駈け込まれたり、訴えられかねない、昨今です。

非正規だからこそ企業側が率先

こうした"相思相愛"になるための一連は、企業側が率先して行います。

そもそも雇用は、企業側の「雇いたい」意向なくして、発生しません。その「雇いたい」希望を、より満足度高くかなえるため、工夫し行動することは、当然です。

ところで、企業はなぜ、パート・アルバイトを雇うのでしょう？　それは、最終的には「自社の業績を上げるため」。より高品質な商品・サービスを生み出し、より多くのお客さまにお買い上げいただくことで、売上を上げていくためです。同時に、そこにかかる労働コストを必要以上に増大させず、利益を高めていくためです。

「就業構造基本調査」の平成24年調査結果によると、パート・アルバイト等非正規社員は2000万人を超えました。雇用者に占める割合も38.2％まで上昇しています。

パート・アルバイトの数が増え、その占める割合が高まるほど、彼らの重要性は増してきます。

そんな彼らの定着・戦力化を促す"相思相愛マネジメント"は、企業経営の肝ともいえるのです。