ジョブズリサーチセンター

ホットコラム 「MY論~私はこう考える!」

2013年11月08日

有期雇用における採用の鉄則
こんな話では、隠れた逸材は見抜けない
~面接時の鉄則~

せっかくの候補者を簡単に落としてしまってから「良い人がいない」と嘆いている会社はたくさんあります。しかし往々にして、落としてしまった候補者の中に隠れた逸材はいるものです。募集に苦労する有期雇用の採用であればなおのこと、候補者の「潜在能力」を見抜く力が、その会社の採用力を左右します。今回は、候補者の潜在能力を見抜くことができる面接で聞くべきエピソードについてご説明いたします。

インパクトより、継続力

面接は自己PRの場であるため、候補者はできるだけインパクトのある過去の成果を述べようとします。例えば、スタッフを取りまとめるバイトリーダーを担っていたとか、小売りのバイトで売り上げNo1に輝いたなどのエピソードです。これらの話はもちろん悪いことではなく、プラス評価すべきことではあるのですが、長くても1ヵ月、下手をすると1日や2日の出来事について述べられることも多く、面接する側からすれば、「それは再現性のあることなのだろうか」≒「一発屋ではなかろうか」という疑問を拭い去ることがなかなかできません。

逆に言えば、短期間の一回限りの成果を見て、面接の判断をしていると、「一発屋」ばかりを採用してしまう危険性が高まります。有期雇用の採用がテーマの本コラム読者の皆さんが必要とするのは、派手な成果をただ一度だけ打ち上げることができる人ではなく、まじめにコツコツと継続的に長期にわたって一定の成果を上げ続ける人ではないでしょうか。そう考えれば、面接で聞くべき話は、まず基本として「短期のイベントにおけるインパクトある成果」ではなく、「長期にわたり、継続してきた行動」であるはずです。

面接でよくある質問の一つに「これまでで一番成果を上げたエピソードを教えてください」というものがありますが、これは実は「短期の成果」の話を促すことになりがちです。例えば「これまで一番長く携わってきた仕事について教えてください」とか「これまでずっと継続してきたことは何ですか」などという質問に変えてみれば、候補者から聞ける話が変わってくるかもしれません。

好きなことより、嫌なこと

また、特に工夫をしなければ、候補者からの話は候補者が「好きなこと」になりがちです。一番関心のあることなので、何も促さなければ自分が一番好きなことの話になるのは極めて自然なことでしょう。しかし、果たして「好きなこと」についての話は、採用面接でその人の潜在能力を見抜く話として適切でしょうか。

私は、あまりそう思いません。なぜならば、「好きなこと」は誰でも頑張るから、です。好きなことについてどれだけ頑張れたとしても、仕事で同じように頑張れるかどうかはわかりません。むしろ、仕事というものはよく言われるように「9割は雑務、嫌なこと」であることが多いです。1割のやりがいを楽しむために、大部分の9割をどれだけ頑張れるかが、最終的な成果を左右すると言っても過言ではありません。

ふつうなら誰でも「嫌だな」と思うようなことを頑張れる人とは、仕事において成果を出せるいくつかの潜在能力を持っている可能性があります。例えば、先に挙げた「継続力」や「忍耐力」はその筆頭です。また、単に耐え忍ぶというだけではなく、もしかすると、どんなにつらいことでも、自分の価値観や考え方、キャリア観などになぞらえて、何らかの意味づけを行うことができる「意味づけ力」を持っているかもしれません。あるいは、小さなことでも喜べる「セルフモチベート力」があるかもしれません。世の中、そんなに楽しいことは頻繁にやってきません。セルフモチベート力がある人は、日々小さなことから喜びを感じるために、結局は他の人よりも大きなエネルギーで仕事ができるのです。

うまくいったことより、苦労したこと

最後のポイントです。これも当然と言えば当然なのですが、候補者は基本的には「うまくいったこと」「成功したこと」を話します。しかし、これも実は能力がわかりにくい話です。というのも、うまくいった話は「ラッキーだっただけでは?」「実はそもそもそんなに難しくないのでは?」とも思えますし、チームで何事かを成し遂げた話であれば「誰かの成果にただ乗りしただけでは?」とも思えるからです。

一方で、最終的には不成功に至ったとしても、途中で大変な壁や障害にぶつかって、試行錯誤をしたような「苦労したこと」は、候補者の人柄や潜在能力がとてもよくわかる話題です。順風満帆に進んだ話では、上記のような試行錯誤は聞けませんが、苦労話の中では、何かトラブルが起こって、それに対してどう対処したという話を山ほど聞くことができます。実際、仕事は最初に想定した通りにうまくいくことばかりではありません。いや、うまくいくことの方が少ないはずです。そうであれば、面接時に聞くべき話は、百に一つの首尾よく成功した話ではなく、日常的に頻繁に起こるトラブルや想定外の事柄に対してどのように対処できたか、ということであるはずです。


以上、今回は面接担当者側が適切に促さなければ、候補者が持っている潜在能力がわかりにくい話ばかりを聞くことになることをご説明しました。参考になりましたら幸いです。

株式会社人材研究所 代表取締役社長
組織人事コンサルタント
曽和利光
京都大学教育学部教育心理学科卒。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と人事採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。2011年に株式会社人材研究所設立。現在、人々の可能性を開花させる場や組織を作るために諸事業を展開中。人事プロデューサークラブエグゼクティブパートナー、GCDFキャリアカウンセラー、他

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