ジョブズリサーチセンター

ホットコラム 「MY論~私はこう考える!」

2013年11月29日

相思相愛マネジメントで
パート・アルバイトを育てて、活かす Vol.4

パート・アルバイトを「採用」できず、「定着・戦力化」もできないと、悩む企業はとても多い。では、どうすれば? に応える成功法則「相思相愛マネジメント」を、変化する非正規労働者の状況と合わせ、お伝えします。

増える「非正規労働者」

本連載のVol.2(第2回掲載コラム)で、「パート・アルバイト等非正規社員の数が増え」ており、「労働者に占める割合が高まるほど、その"働き手"としての重要性が増す」ことを述べました。今回は、その非正規社員について、さらに詳しく見ていきます。相思相愛マネジメントは、相手を理解することで、より高レベルに実現できるものだからです。

まずは、増加状況を確認します。総務省「労働力調査」によると、非正規社員は1813万人。雇われて働く人に占める割合は、35.2%に至っています(2012年度平均)。ちなみに1989年、平成元年の非正規労働者数は、817万人にすぎません。今より1000万人近く少ない数字です。非正規比率も19.1%と、2割に満たない値でした。まさに「激増」している状況です。

その背景には、企業が高コストな正社員を減らし、低コストで雇用調整もしやすい非正規社員を増やすことで、利益をねん出してきたことがあります。実際、働きたい人一人に何件の求人があるかを示す有効求人倍率も、常用雇用では一時0.39倍まで落ち込んだのに対し、パートのそれは、リーマン・ショック時を除き一貫して、1倍以上を保っています。

多様化する正社員

では、いったいどんな人が、新たに非正規社員になったのでしょうか。これを考えるには、図①の四象限で整理します。「時間自由度」と「高賃金必要度」が、それぞれ「高い」か「低い」かです。
働く人が置かれている環境

従来からの非正規社員つまり、主婦パートと学生アルバイトは、時間自由度と高賃金必要度が共に低い「左下」。家事や子育て、勉強やサークル活動の合間や、自分の都合のよい時間に、働きたいとする人です。主婦パートには、主たる生計維持者としての夫がおり、扶養の範囲で働きたい要望もあって、高賃金必要度は低くなります。仕送りがあったり、親元から通う学生も、同じです。

ところが今は、「時間自由度」と「高賃金必要度」のどちらか、あるいは両方が高い人が、非正規社員として多く働くようになりました。

例えば、正社員での転職がうまくいかない人など、主たる生計維持者でありながら、非正規社員として働く人は、時間自由度も高賃金必要度も高い「右上」です。時間自由度は低いが、高賃金必要度は高い「右下」に入るのが、家事や育児を担いつつ、自らの収入を生活維持に投入するシングルマザーや、シングルファーザー、非正規社員の妻といった人たちです。

マネジメントをする際には、自社で働くパート・アルバイトが、この四象限のどこに位置する人なのかを、意識します。でないと「ここで働きたい」「働き続けたい」と、思ってもらいづらくなってしまいます。

四象限で見る雇用形態

続いて、雇用形態について見てみましょう。非正規社員とは、有期契約社員(フルタイム・パートタイム)と派遣社員を合わせた概念ですが、これを整理するには、図②の四象限で考えてみるのが得策です。
四象限で見る雇用形態

つまり、横軸が「無期雇用契約」か「有期雇用契約」かという、雇用契約期間の軸。縦軸は、賃金・(教育研修や福利厚生などを含めた)処遇・職務内容が、相対的に「高い」か「低い」かという軸です。

四象限の右上、つまり「無期雇用契約」であり、賃金・処遇・職務内容が「高い」人たちが、いわゆる従来型の正社員です。一方、左下つまり「有期雇用契約」であり、賃金・処遇・職務内容が「低い」人たちが、いわゆるパート・アルバイトなど、一般的に「非正規社員」とくくられる働きかたです。

「有期雇用契約」だが賃金・処遇・職務内容は「高い」左上は、高度な専門性をもち、プロジェクトの遂行期間のみなど、フリーランス的に雇用される人たちです。同時通訳など高度なスキルを保有する有期契約の派遣社員も、ここにカテゴライズされるでしょう。

改正労働契約法で増える「新たな正社員」

四象限の右下、つまり「無期雇用契約」であり、賃金・処遇の「低い」人たちが、今後は増えてくる見込みです。というのは、2013年4月に「労働契約法」の改正法が施行され、「有期雇用契約を更新し、同じ会社で5年を超えて働き続けた有期雇用契約の労働者が、『無期雇用契約に転換したい』と申し出た場合、企業側はそれを断れない」となったからです。

法律は、無期転換後の労働条件(職務、勤務地、賃金、労働時間など)は、原則として直前の有期の期間と同一としています。つまりいわゆる従来型の正社員化までを求めるものではなく、今後「新たな正社員」が出現してくると言えるでしょう。

パート・アルバイトの活用を考える際、この「右下」部分のポジションを、今後自社内に作っていくのか? を含め、この層の人たちに任せる仕事や、社内における位置づけ、また自社戦力として長期に活躍してもらうための教育・育成など、キャリア形成支援策を新たに考えていく必要があります。

株式会社働きかた研究所
代表取締役 平田未緒
早稲田大学卒業後、情報誌編集記者を経て、1996 年に総合求人広告企業株式会社アイデムに入社。人とマネジメント情報各誌の編集長を歴任し、2009 年からアイデム人と仕事研究所所長。この間パート・アルバイトの戦力化などをテーマに、数多くの企業ならびに働く人を取材。雇用に関する現場情報に詳しい。
2013年に株式会社働きかた研究所を設立、「企業に対するパート・アルバイト活用支援」を実施する。
各種公的委員会・研究会の委員も務めるほか、各種専門誌への執筆、講演も多数。著書に『パート・アルバイトの活かし方・育て方(PHP新書)』などがある。
http://hatarakikata.co.jp/

『パート・アルバイトの活かし方・育て方~「相思相愛」を実現する10ステップマネジメント~』(PHP研究所)
パート・アルバイトがすぐにやめてしまう......。上司、店長のそんな悩みを解消するのが「相思相愛マネジメント」。募集から採用、教育まで、パート・アルバイトの力を引き出すための具体的な手法を、10のステップに分けて解説する。ともすると、漫然と雇用されることの多い労働力も、「意欲・能力が高い人を選び」「その人にできるだけ長く働いてもらい」「業績向上のためにもてる力を最大限に発揮してもらう」ことができれば、大きな戦力となる。では、具体的にはどうすればいいのか? について、男女の恋愛になぞらえて具体的に解説しておりわかりやすく、明日からの実践に移しやすい。

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