ジョブズリサーチセンター

ホットコラム 「MY論~私はこう考える!」

2014年01月31日

相思相愛マネジメントで
パート・アルバイトを育てて、活かす Vol.7

相思相愛マネジメントは、「良い」パート・アルバイトを採用し、定着させ、企業にとって頼りになる戦力に育てるために行うもの。今回から、いよいよ相思相愛マネジメントの、具体的ノウハウに入ります。
相思相愛マネジメントは、具体的には、10のステップからなっています。このうち今回は「ステップ1 募集」について、解説します。

相思相愛マネジメントの10ステップ

相思相愛マネジメントは、具体的には以下の10ステップに分かれます。

ステップ1 募集 ...お見合いの相手探し

ステップ2 応募受付 ...「ぜひ会ってみたい」と思わせる

ステップ3 面接 ...いざ、お見合い!

ステップ4 入社(雇用契約)...長いご縁の第一歩

ステップ5 導入~新人教育 ...成田離婚しないために

ステップ6 シフト管理 ...家事分担は公平に

ステップ7 コミュニケーション ...会話と連絡が家庭円満のもと

ステップ8 教育 ...効率的な家事と自己実現

ステップ9 評価と賃金 ...頑張っても、認められない?

ステップ10 正社員登用と退職 ...より永いご縁になるとき、別れるとき


相思相愛マネジメントは、要するに、パート・アルバイトを雇う前、つまり「雇いたい」と思ったときからスタートし、その人がパート・アルバイトとして自社で働いている間じゅう、ずっと続くということです。

働く側に「ここで働きたい」と思ってもらい続けるためには、雇用する側の企業が率先して、「あなたに働いてほしい」と伝え続ける必要があるのです。

これは、ある意味、正社員のマネジメントより、大変です。それでもやる必要があるのは、第6回でも記したように、正社員に比べ意欲を高めづらく、辞めやすい特色を、その雇用形態により自ずから有しているからです。放ったらかしにしていると、知らぬ間に意欲をなくし、辞めていってしまうのです。

「欲しい人材」に応募してもらうには?

募集とは、仕事を探している人に、自社が「パート・アルバイトを雇いたい」ことを伝えること。その際、相思相愛マネジメントでは、ただ漫然と求人広告を出しません。その前に「どんな人と相思相愛になりたいのか」をしっかり考えます。ここで明らかになった「欲しい人材像」に沿って、募集広告を作り込むのです。

パート・アルバイトの場合、欲しい人材像は、「①どんな仕事を」「②どのくらいのレベルで」「③どのくらいの量(時間・期間)」してほしいのか、で決まります。

「①どんな仕事を」は、具体的な仕事内容です。「②どのくらいのレベルで」は、そこに求められるスキルや経験、人柄などを決定します。例えば製造業で部品の組み立てを行ってもらう場合には、もくもくと飽きずにこれをこなせる人が「欲しい人材像」となりますが、飲食店のフロア係の場合、人に対する気配りや自然な心遣いを笑顔で感じよくできる人などとなるでしょう。

「③どのくらいの量」は、シフトにどの程度入れる人が欲しいのか? また、繁忙期の3カ月のみなど短期なのか、それとも「できるだけ長く働いてほしいのか」ということです。

とはいえ、パート・アルバイトがそもそも「自分の空いた時間を有効活用したい人」であることを、忘れてはなりません。限りなくフルタイムに近いなど拘束がきついと、応募者が集まりづらくなってしまいます。都心のファストフード店などでは、応募者を増やすべく、「週1回、一日2時間でOK」などとしている極端な例もあるくらいです。

欲しい人材像に合わない人から、どれだけたくさん応募があっても、採用には至れません。極端な例ですが、接客の仕事で、人を不快にさせてしまいがちな人は採用できませんし、してはいけないのです。

よく見る募集広告の「大失敗」

よく見る募集広告の失敗に「自社の要望しか書いていない」ことが挙げられます。欲しい人材像を記すことは大事ですが、同時に欲しい人材像に合致した人が、「応募したくなる」ものにしなくてはダメなのです。

その際のポイントは、「入社したら、何が得られるのか」つまり、求職者にとってのメリットを、具体的に表現することです。メリットは、賃金に限りません。「教育・自己成長」つまり、働くことで何が身に付くかは、そうした意欲のある求職者に、大きなメリットに映ります。

例えば「長期に、意欲的に働いて成長し、経営的な数字もある程度理解でき、後輩を指導し組織のモチベーションも上げられるような、店長補佐に育ってほしい」場合、こうした意向を伝えると同時に、「評価に応じて時給アップ。仕事を通じて、店舗運営の仕組みやコツ、マネジメントが学べます」などと記します。

「仕事の価値・意義」を伝えることも大事です。人は、無意味なことや、価値や意義を感じられないことを、モチベーション高く、また、長くは続けられません。

要するに、その仕事をすることで、誰のどんなお役に立ち、どう喜んでいただけるのか? ということです。例えば東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドでは、園内の清掃係に「カストーディアル」という名称を付け、「単に清掃する役割ではない。清掃を通じ、お客さまをおもてなしし、喜んでいただくお仕事です」として、募集しています。こうして仕事の価値・意義を明確に打ち出すことで、過去にはあまり人気のなかった職種が、現在では同園の人気職種になっています。

掲載費用を無駄にしない広告媒体の選び方

募集広告を漫然と作っていては「自社が欲しい人材」から、応募してもらえません。応募がなければ、何度も求人広告を出すことになり、無駄なコストばかりが膨らみます。

もちろん、求人広告媒体を「選ぶ」ことも重要です。その「媒体選定の基準」も、欲しい人材像にあります。

例えば、新聞を取らない学生に対しては、フリーペーパーやインターネット求人サイトへの掲載が有効です。半面、主婦パートを募集したいなら、新聞折り込み広告が、まだまだ力を発揮するでしょう。

単発の仕事の場合、登録者に携帯メールで即時に情報を流す仕組みを持っていれば、「授業が休講になり、時間ができたから働きたい」といった人に、タイミングよく応募してもらえたりします。

欲しい人材像があまり見ていない媒体にいくら掲載しても、欲しい人材像に情報は届きません。

株式会社働きかた研究所
代表取締役 平田未緒
早稲田大学卒業後、情報誌編集記者を経て、1996 年に総合求人広告企業株式会社アイデムに入社。人とマネジメント情報各誌の編集長を歴任し、2009 年からアイデム人と仕事研究所所長。この間パート・アルバイトの戦力化などをテーマに、数多くの企業ならびに働く人を取材。雇用に関する現場情報に詳しい。
2013年に株式会社働きかた研究所を設立、「企業に対するパート・アルバイト活用支援」を実施する。
各種公的委員会・研究会の委員も務めるほか、各種専門誌への執筆、講演も多数。著書に『パート・アルバイトの活かし方・育て方(PHP新書)』などがある。
http://hatarakikata.co.jp/

『なぜあの会社には使える人材が集まるのか~失敗しない採用の法則~』(PHP研究所)
求人広告の反応はごくわずか。応募があっても欲しい人物像と違う。よい人だと採用しても期待はずれ。稼げる人はさっさと辞める―。なぜこんなにも「使える人材」が集まらないのか? 本書では、働く環境と意識の変化からその原因を解き明かし、これからの採用活動の必勝ルールを説いている。また、採用担当者にとって外すことができない「応募が増える募集広告とはどのようなものか」「求人メディアはどうやって選べばよいのか」「人を見抜く、面接での質問とは」「それでもよい人が採用できないとき、どうすればいいのか」など実務面でのポイントを、採用活動の一連の流れにそって、紹介されている。

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