ジョブズリサーチセンター

ホットコラム 「MY論~私はこう考える!」

2014年02月28日

相思相愛マネジメントで
パート・アルバイトを育てて、活かす Vol.10

忙しい時間帯にパート・アルバイトに働いてもらえないと、事業に支障をきたしてしまいます。労働集約的な職場ではなおのことです。そこで大切になるのが、パート・アルバイトの勤務シフト。今回は、10のステップからなる「相思相愛マネジメント」のうち、「ステップ6 シフト管理~家事分担は公平に~」について、解説します。

シフト管理はパート・アルバイト活用の要

シフト管理は、パート・アルバイト活用の要です。必要な人数が働かなければ仕事が回らず、といって誰かに過度の負担がかかれば不満が募り、心身を病んだり、組織の関係が悪くなってしまいます。ちょうど、家庭における家事分担のようなものと言えるでしょう。

例えば、ビジネス街の飲食店など、ランチタイムに必要な人数を配せなければ、回転が悪くなり売上に直結します。急いで食べたいのにオーダーを取りに来なかったり、料理が出るのが遅くなれば、すぐに「あそこはダメだ」とみなされて、客足が遠のいてしまうでしょう。

といって、パート・アルバイトにシフトを無理強いするのは、得策ではありません。彼らの勤務シフトに対しては、一定の「配慮」が必要です。というのは、パート・アルバイトの多くは、主婦や母、学生など、仕事以外の別の顔をもち、そちらに時間を取られてしまう人たちだからです。

したがって、パート・アルバイトの多くが望んでいるのが、「自分の都合で働ける」こと。というよりパート・アルバイトの多くは「物理的に働けない時間帯が多くある」人たちで、無理なシフトを強要しても、モチベーションを下げるだけ。「ここでは働けない」と思われて、辞めていってしまいます。

「約束やぶり」が招いた悲劇〜介護福祉施設の例〜

実際、こんな例がありました。

介護福祉施設に勤務する主婦パートが、仕事が原因で腰痛を患ってしまったときのこと。家庭の都合もあり、「来月は、どうか週二日勤務にしてください」と施設長に頼んだ上、それに応じた勤務希望を出していました。

ところが、実際に次月の勤務シフト表が配られ、それを見ると、自分の名前が通常どおり、週四日の頻度で記載されていたのです。

「あれだけ頼んだのに」「何の説明も相談もなく通常のシフトにするなんて!」。怒りはあきらめとなり、彼女は次の勤務日に、突然退職届けを出しました。

びっくりしたのは、施設長です。当然引き留めにかかりました。しかし、彼女は決して引きませんでした。

具体的かつ身体的な理由を提示して、わざわざ「来月は週二日に」と願い出た相手に対してすら、週四日勤務をさせようとしたくらい人手が足りなかった職場です。貴重な人材に辞められてしまった施設長の落胆ぶりが、目に浮かびます。

シフト管理のコツ①公平・平等を心掛ける

もちろん、会社には会社の都合があり、パート・アルバイト勤務時間を、本人の都合にばかり合わせるのは不可能です。つまり、大切なのはバランスで、シフト管理のポイントの第一は、「本人の都合に配慮しつつ、会社の都合にいかに自然に合わせていくか」となるでしょう。

その際、公平・平等を心掛けることが、大切です。というのは、希望の取り入れ方にばらつきが見えると、パート・アルバイトが会社や店長、上司に対して、不信感を抱いてしまうからです。「えこひいきしている」とか、「私の希望はいつも全然通らない」といった具合です。

公正・平等なシフト管理をするためには、個々のパート・アルバイトに勤務希望を出してもらう際、一定の制限を設け、これをルール化するとよいでしょう。例えばシフトの希望を出してもらう際、「土・日曜・祝日の休みは◯回まで」など一定の決まりを作り、それに則った希望を出してもらいます。こうすることで「声の大きな人」の希望が通りやすい、といった事態を防げます。

シフト管理のコツ②シフトの希望を聞く姿勢

シフト管理を成功させるもう一つの知恵が、常にパート・アルバイトと、「シフトの希望を聞く姿勢で」接すること。実際には、100%希望をかなえる必要はありません。すでに述べたように、全員の希望をかなえることは、土台無理な話です。このことは、本人たちも分かっています。要は「気持ちの問題」です。

具体的には「一人ひとりのパート・アルバイトに」「本人の希望を」「常にきちんと確認」すること。その上で"この日に出てもらえないだろうか"と相談します。

日常的に自分の都合を確認してもらっていれば、パート・アルバイトも「大変なときは協力しよう」と思うもの。つまり、「お互いさまだ」「お客さまに迷惑はかけられない」などと、ごく自然に思ってもらえるような関係づくりをするのです。

また、「保育園の遠足で」「ゼミ合宿がある」など特別な場合については、できるだけ対応してあげるようにすることが、パート・アルバイトとの信頼関係を紡ぎます。

シフト管理のコツ③パート・アルバイトを多能化する

シフト管理に柔軟性をもたせるためのもう一つの方法が、パート・アルバイトを「多能化する」ことです。

例えば三人のパート・アルバイトを雇用し、経理・総務・人事の仕事を担当させている場合、三人がそれぞれ経理も総務も人事も手伝えるように教育するのです。

多能化すると、突然の休みはもちろん、誰かが退職することになっても対応や引き継ぎが容易です。半面、多能化とは、「仕事の負担が増す」ことです。

それを、快く受け入れてもらうコツは、できれば採用面接のときから、「いずれは別の仕事をしてもらいます」などと宣告しておくことです。面接の際には「まずは合格したい」気持ちが強いため、比較的すんなりと受け入れてもらえます。

すでに働いているパート・アルバイトを多能化する場合は「皆さんに休みを取っていただきやすいように」など、多能化の目的をきちんと伝えることが重要です。

この「先に伝え」「納得を得る」行為をはしょってしまうと、新しい仕事に挑戦してもらうたびに「また新しいことを覚えるのか?」「負担ばかり増える」などととらえられ、大きな不満に発展しかねません。

株式会社働きかた研究所
代表取締役 平田未緒
早稲田大学卒業後、情報誌編集記者を経て、1996 年に総合求人広告企業株式会社アイデムに入社。人とマネジメント情報各誌の編集長を歴任し、2009 年からアイデム人と仕事研究所所長。この間パート・アルバイトの戦力化などをテーマに、数多くの企業ならびに働く人を取材。雇用に関する現場情報に詳しい。
2013年に株式会社働きかた研究所を設立、「企業に対するパート・アルバイト活用支援」を実施する。
各種公的委員会・研究会の委員も務めるほか、各種専門誌への執筆、講演も多数。著書に『パート・アルバイトの活かし方・育て方(PHP新書)』などがある。
http://hatarakikata.co.jp/

『なぜあの会社には使える人材が集まるのか~失敗しない採用の法則~』(PHP研究所)
求人広告の反応はごくわずか。応募があっても欲しい人物像と違う。よい人だと採用しても期待はずれ。稼げる人はさっさと辞める―。なぜこんなにも「使える人材」が集まらないのか? 本書では、働く環境と意識の変化からその原因を解き明かし、これからの採用活動の必勝ルールを説いている。また、採用担当者にとって外すことができない「応募が増える募集広告とはどのようなものか」「求人メディアはどうやって選べばよいのか」「人を見抜く、面接での質問とは」「それでもよい人が採用できないとき、どうすればいいのか」など実務面でのポイントを、採用活動の一連の流れにそって、紹介されている。

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