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2024年02月22日

#アルバイト・パート#人材不足#飲食業

応募150人以上、14名採用のカギは、その人らしく働けること

応募150人以上、14名採用のカギは、その人らしく働けること

2023年10月、「m Little Pigs Cafe」をオープンさせた、(株)ゆあまーとの代表・山口氏。マイクロブタと気軽に触れ合えるカフェ、という広島では新しい業態の店舗で、ある程度の応募数は見込めました。しかし、動物の世話は想像よりずっと大変で、物珍しさだけで勤務してもらっても長続きしないし、何より動物たちのためになりません。
そこで山口氏は、本当の「動物好き」な人々と出会えるよう、採用広報に様々な工夫を施しました。そのかいあって、150人以上の応募数獲得と14名の採用に成功したのです。今回は山口氏に、背景にあった工夫や配慮についてお聞きしました。

  • ● 社名/株式会社ゆあまーと
  • ● 所在地/広島県広島市中区胡町3番11号
  • ● 主な事業/マイクロブタカフェ、トリミングサロンの運営
  • ● 従業員数/14名(2024年1月時点)
課題
オープンに向けて、短期間で「動物好き」、かつ「SNSが得意」「英語を話せる」「トリマーの経験がある」人を採用する必要があった
取組
・勤務時間・日数が自由に選べること、日払・週払もOKにした
・髪型・髪色・ひげ・ネイル自由など、応募者のスタイルも尊重した
成果
・応募者150人以上で予定数8人を上回る、14名を採用
・SNSが得意、英語が話せるスタッフ、経験のあるトリマーも採用できた

本物の動物好きでなければ務まらない、ハードさのある仕事

マイクロブタたちは可愛らしい存在ですが、単に頭をなでていればいいわけではありません。排泄もしますし、病気にもなるし、噛みつかれる場合もあります。全部を飲み込んだ上で、愛情を持って接することができる、本物の「動物好き」でなければ務まらない。それが採用にあたり、譲れない前提だった、と山口氏は言います。

「加えて、SNSに強いこと。スマホで動画撮影して簡単に編集し、SNSに投稿できる、くらいのスキルを持つ人を求めていました。もう一つ、広島平和記念公園が近い立地上、外国人客の来店も想定できるので、英語を多少話せる人がいてほしいとも思いました。私がどちらも苦手なため、得意な人が来てくれるといいな、と」

オーナーの山口氏
オーナーの山口氏

カフェ2階にはペットホテルが併設され、トリミングも行っています。カフェを手伝いながら、トリマーとして活躍してくれる人材も必要でした。
採用予定数は、カフェスタッフ(未経験OK)で5人、トリマー(経験者のみ)で3人。10月29日オープンというのに、募集を始めたのは10月上旬。研修なども考慮すると、募集期間は2週間程度しかありません。

スタッフの柔軟な働き方・スタイルを尊重できるよう配慮

山口氏はなるべく多くの人に応募してもらえるよう、勤務時間をかなりフレキシブルにしました。1日3時間、週2日からOKで、曜日も時間も日数も応相談。学校や家庭の急な予定変更にも配慮することを付け加えました。また「髪型・髪色・ひげ・ネイル自由」といった項目も忘れません。

「SNSが得意とか、英語を話せることを求めるなら、“短時間だけ働きたい”という人の希望にも応えられるようにした方がいいな、と考えました。動物を傷つける可能性のあるデザインのネイルはNGですが、それ以外であればスタッフが好きな恰好で働いてくれれば良い、スタッフの個性と自由な選択をできる限り尊重しよう、と思いました」

特に目を引くのが、「日払・週払」を可能としたこと。“友だちと遊びに行くことになった”、“急にお金が必要になった”、などの相談にも乗ってあげたいので…と、山口氏は笑います。

募集の結果、150人以上の応募を集め、予定を超える14名のスタッフを採用。トリマーに関しては正社員として募集する会社が多く、パート・アルバイトの募集に経験者が来てくれるか…という不安もありましたが、こちらも3名を採用できました。

スタッフの柔軟な働き方・スタイルを尊重できるよう配慮

SNS得意、英語が話せる、トリマー経験ありなど、理想通りの人材が集まった

カフェスタッフとして働く橋本さんは22歳。SNSは得意で、多少英語も話せます。

「もともと動物好きで、家では猫を飼っています。それで興味を持ちました。日払・週払OKも大きかったですね。以前、猫が急病になった時、持ち合わせがなく、クリニックに連れて行けなかったことがあって」

トリマーの西川さんは、トリマーとして7年の経験を持っています。

「通常、正社員でトリマーとして働くとなると、土日祝出社や残業があります。私には3歳の子がいて、正社員としての働き方は難しいと思っていました。でも動物もトリミングも好きなので。ここでは短時間勤務が可能ですし、子どもの急な病気などの事情にも、柔軟に対応してくれます」

勤務時間・勤務日が柔軟に選べること、日払・週払OK、髪・ネイル自由というのは、あくまで求人上の条件にしかすぎませんが、その背景には、「その人らしく働けるように、スタッフの個性やプライベートを大切にしたい」と願う山口氏の思いがあります。

人材不足の昨今、働き手の要望よりお店のシフトに合わせることを優先したり、「できるだけ長い時間働いてくれる人を」と思ってしまいがちですが、個人の要望に柔軟な企業姿勢が人材不足を補う糸口になるのかもしれません。